ごあいさつ
写真愛好家である我々は、それぞれが大使として勤務した国で、人、自然そして歴史的建造物との素晴らしい出会いに恵まれ、そのいくつかをカメラに収めることが出来ました。展示しました写は、勤務した国の文化に対する我々の深い敬意の表れでもあります。二人の写真展は、数年前にモスクワのプーシキン美術館で開催されました。今回はその時よりも展示写真数は少なくなりましたが、本での開催は初めてです。 この写真展が、両国間の相互理解の増進に少しでも貢献出来れば幸甚です。
作者紹介
アレクサンドル・パノフ(Alexander N. Panov)
1944年モスクワ生まれ。68年に国立モスクワ国際関係大学を卒業後、ソヴィエト連邦外務省に入省。68―71年まで駐日ソ連大使館に勤務。71―77年、国立モスクワ国際関係大学助教授として日本史、日本の対外政策を講義。その後、国連のソ連政府代表部、駐日ソ連大使館勤務を経て、外務省の太平洋・東南アジア局長を務めた。92―93年に駐韓国特命全権大使を務め、93―96年に外務次官(アジア太平洋地域・中央アジア担当)を務めた。更に、特命全権大使を日本(1996―2003年)及びノルウェー王国(2004―2006年)で務めた。2006―2010年にロシア外務省外交アカデミー学長を務めた。歴史学博士、政治学博士。『不信から信頼へ』、『雷のち晴れ』など論文、著書多数。1997年(駐日大使時代)、2013年(ゴロヴニン事件解決後200周年記念事業)に高田屋嘉兵衛公園を訪問し、高田屋顕彰館前でサザンカ、八重桜の記念植樹をした。2018年11月には、ドキュメンタリー映画「信頼への道――日本におけるロシア人」の取材撮影のため、3度目の来園を果たした。(2022年8月31日に文章を修正)
野村一成(のむら いっせい)
1940年生まれ。本籍は広島県であるが、中学卒業までは淡路島育ち。63年に東京大学法学部を卒業のあと外務省に入省。外務本省では、ソ連課長、欧亜局長などを務め、総理府に出向の際にはPKO法案の作成と国会承認のために尽力した。在外勤務においては、特命全権大使をマレーシア(95―99年)、ドイツ(2001―2年)、ロシア(2002―6年)で務めた。 淡路島との御縁としては、福良と洲本に住んだことのほか、1998年8月に淡路人形浄瑠璃の成功裡のマレーシア公演を大使として出迎えた。在ロシア大使のとき2004年1月に、母校の洲浜中学において「世界に目を向けよう!~これからの若者に託して~」との表題で講演した。同年5月には、クロンシュタット市制300周年記念式典に招待されてロシア訪問中の旧五色町関係者などをモスクワの日本大使公邸に招いて懇談の機会を持った。また、2010年には、皇太子殿下の淡路島ご訪問に東宮大夫として供奉をした。2011年11月には、洲本市図書館で「日本とロシアの間の民間外交の可能性」と題して講演し、高田屋塾講師を務めた。2015年11月、瑞宝重光章受章。2021年7月4日逝去。正三位に叙される。(2022年8月31日に文章を修正)